2017
11.19

11月に思うこと・評論という文体

Category: 思フコト
私事だが、大学時代の恩師がさきごろ亡くなり、
先週は偲ぶ会が行われるというので、出かけてきた。

偲ぶ会では学生時代には触れ得なかった恩師の人となりや生の歩み、
思考などが教え子の人たちによって語られて、
学生時代、もっとも身近であったはずの恩師の像が、
実は自分にとってひとつの断片に過ぎず、
会ではじめて恩師の全体像がくきやかに結んだような気がしたのである。

会に伺うにあたって、書棚の奥から恩師の書いた評論の書籍を取り出した。
恩師は中野重治の研究者であった。
学生時代から遠く離れて読む師の評論は、
研究者として緻密な視点にあふれ、それでいてわかりやすく
確実に伝わるように考え抜かれて言葉が選ばれているようであった。
決して難解な・詰問的な・あるいは学術的な高潔な雰囲気に覆われた雰囲気ではなかった。

そして自分は、いまさらのように思うのだが、評論にも文体があるのだと
あらためて思った。書き手の人となり、思考、伝える姿勢、
そうした「人間」は、なにも短歌でなくとも、その表出に現れる。
かりに隠そうと思っても、その人となりは確実に表れる。
恐ろしいことであり、また素晴らしいことでもある。
私たちは書いたもののほかに、
その人そのものの考える森を何度も歩くことが出来るのだから。








2017
10.18

「歌壇」11月号書評・井上久美子さんの歌集「マザーリーフ」

Category: My works
現在発売中の歌壇11月号に書評を書かせていただきました。


かりんに所属されている、
井上久美子さんの歌集『マザーリーフ』は
母性、そしていのちがテーマであると思います。
マザーリーフというタイトルが示す通り、はぐくむもの、生み出すものとしての自己と
命の流れを鋭く見つめ問いかける歌集で、書評にもそうしたことを書いてみました。

ぜひお手元の歌集をお読みになってみてください。



2017
10.18

現代短歌新聞11月号・書評「塔短歌会東北・2199日目」

Category: My works
現在発売中の「現代短歌新聞」11月号に、
「塔短歌会」東北の皆さんが刊行された、
同人誌「2199日目」の書評を執筆させていただきました。

「2199日目」とは、震災からの月日。決して何年目とは区切れない、
苦しみの連続性の中で、歌は生まれていると思います。

東北に関わる人たちの苦悩や希望や、様々な思いが
この2166日に積まれて行っているのだと思います。
ぜひ、お読みください。 
2017
10.17

10月に思うこと・女性と表現

Category: 思フコト
先月下旬に刊行された「早稲田文学」増刊号は、
川上未映子氏の手に依る特別編集で、「女性と表現」がテーマ。



短歌の世界からは栗木京子氏、東直子氏や雪舟えま氏が名前を連ねている。
11月26日には早稲田大学でシンポジウムも開かれるという。
(9月には刊行記念のイベントもすでに開催)
↓↓
早稲田文学・女性号シンポジウム

川上氏は巻頭言の中で、「古くて白けて今更フェミニズム」の空気があるなかで、
今、すべてのそうした空気なり問題点なりを記録しておきたいとしている。
http://www.mieko.jp/blog/2017/09/02/1881.html
かけがえのない試みだと思う。
最近、短歌の世界でもフェミニズムへの問いが勃興したが、
大きなうねりにならないまま終わった。

そうしたなかで、関西の女性歌人たちが同人誌「ぱらぴゅるい」を刊行した。
こちらは尾崎まゆみさんらが関わって、
関西在住の女性歌人が世代を越えて集い、短歌について綴り、語る。

なぜ女性だけ?その問いは、
早稲田文学の川上氏の巻頭言に書かれていることもつながっていくだろう。

「女性であること」をとりあげるとき、「古くて白けて今更フェミ」感がつきまとう。
しかし、「女性であること」をもう一度深く考える角度で、
この「ばらぴゅるい」を拝読することも必要であると思う。










2017
09.23

『現代短歌』10月号・特集くだもののうた

Category: My works
現在発売中の「現代短歌」10月号の特集「くだものの歌」に
短歌7首とエッセイを寄稿させていただきました。
↓↓
http://amzn.to/2jPpoeU

昨年の「猫のうた」に続く、しみじみとした特集になっています。
昨今、不穏な世相で、どこもギシギシしていますが、
こんなふうに生活に身近な手触り、あたたかみのある
特集がいとおしいです。

ぜひお読みください。
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