2010
10.18

喜多昭夫 詩歌論集『うたの深淵』

北陸の歌人・喜多昭夫さんによる、

「うたの源泉」に続く

第2詩歌論集です。

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笹井宏之さん、小島なおさん、野口あや子さんという、

最近の若手歌人の歌人論、

詩人小池田薫氏との対談、

俳句集への論考など、

その守備範囲の広さ、

論考の展開の広さに驚かされます。




このことは、短歌だけでなく、

広く詩歌全体を見渡して

短歌を捉えるべきという喜多氏のスタンスが

顕著になっている部分だと感じます。



「うたを読む歓びとは、
 
 畢竟、歌びとの正におのれの生を重ね合わせて、

 一期一会の共感を得ることに他ならない。

 本書が詩歌の裾野を広げる一助となれば幸いである。」

                 (あとがき より)




瞠目なのは、

前半に収録されている、

女性歌人の女性性の論考でしょう。




与謝野晶子の出産と、詩歌への導入について論じた


「与謝野晶子の出産詠」、


江戸雪さんと新井直子さんの実体験に基づいた歌集を読む


「胎児の死はどのように歌われたか」


のふたつはなかでも強い衝撃を読者に与えることでしょう。






喜多氏は男性ながら、

胎児・出産という女性にさえも

整理のつかない問題を

鮮やかに論じておられます。





男性だから、女性よりも

事象を客観視できるのかもしれません。



日常生活の中で、

誕生以前、未生の段階での出来事は、

自らと周りの傷みとして感じるほかに、

めったに語られることはありませんが、

こうした作品や、評論を通して

自らの問題として再考してみることが

必要ではないかと考えました。





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