2012
01.22

喜多昭夫『早熟みかん』を読む

あけましておめでとうございます。いろいろあった昨年、
今年は気持ち新たに、言葉の力を信じてやっていきたいと思います。

1月も既に下旬、年末年始、更新を怠ってしまいましたが、
ブログもがんばってまいります。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、石川の歌人、喜多昭夫氏の歌集『早熟みかん』をいただきました。
二胡 004


表紙もみかん色のかわいらしいものとなっています。

歌は、硬質の抒情をたたえてきた、雪国の巨人、
喜多昭夫の歌、という従来の見方を見事に裏切られる構成でした。
ある世代にはなつかしい美保純からAKB48まで、
世俗を口語で切り取った歌が収められています。


くちばしがあったらあったでキスをするときに正直困るかな、えへっ

柳原加奈子のやうにしたたかにまたしなやかに生きていきたい

めをさますしばらくぽわっとかなしくて人の性器に触れてみました

生理的に無理と言はれて落ち込んで歩いてゐたら犬のうんこだ

したあとはなぜか寂しい どひゃどひゃとカサブランカの香る寝室



驚きをもって見つめた歌の数首を。



この歌集を編んだ、喜多氏の意図とはどこにあるのか。

口語化している短歌世界への、
作者自身の文体への意欲的な挑戦

であるのか、

口語短歌を作家自身が消化した上で、
自身のハイブリットされた文体としての
一歩の踏みだし

であるのか

ベテラン歌人が、極めて限定的にサブカル的な歌を
集めた歌集をつくってみた


ということなのか。

私は「現在」に違和を抱きつつ
多彩な表現によって対象に接近を試みている
主体の、「現在」に対する諧謔まじりの皮肉
とも受け取りました。


こうしたことをいろいろ考えるのもまたひとつの読むことの楽しさではありましょう。



多くの人に読んでいただきたい。そして読後感を話し合いたい歌集であります。










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