2014
06.05

木下こう歌集『体温と雨』を読む

「未来」に所属する木下こうさんの第一歌集。
フランス装の瀟洒な装幀が作者の人柄を彷彿とさせます。

静かな、だが、ちろちろと燃える情熱を感じさせる
独特の雰囲気を持っている歌。
歌集によくある作者の紹介が、この歌集にはなくて、
それが非常に作品世界を際だたせていると思います。

サンダルの釦をとめる指先のちひさき響き 海に行きたし

駅に待つあなたは朝のマウンドで肩をひやした少年のやう

さらさらとさみしき冬日 花の茎ゆはへて水にふかくふかく挿す

みどりごのわれなみだぐみうみがめの瞳をして吾をみつめてをりぬ

窓の外のまばゆいひかり車内にてひかりはすべて書物となりぬ



どこのページを開いても秀歌がある。
換喩の巧みな使い手であり、本当に優れた歌集というのは
こういう歌集をいうのだなあと改めて思います。

おそらく若い方と思われますが、いわゆる流行の文体でないのもよい。

染まって欲しくない。
(とか、老婆心かしら・・。)

ずいぶん長いこと、この世界観に惹かれています。





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