2014
10.18

中畑智江歌集『同じ白さで雪は降りくる』を読む

新鋭短歌シリーズの第2期でもある。
中部短歌所属の中畑智江さんの第一歌集『同じ白さで雪は降りくる』。
第五回中城ふみ子賞を受賞した作者の錚々たる歌集です。

われの姿のくきやかな歌が収められ、苦悩や喜びや生の折々を
読み手はともに立ち会うことになります。
叙情的な表現のゆたかさが、この作者の世界のゆたかさに繋がっていると思います。

幼子が青を踏み踏み駆けてくる 駆けし道より春たちのぼる

ひよこ豆のスープに潜むくちばしを思いぬ窓に梢がゆれる

上書きをしていくように降る雪に黙すほかなしランタン灯る

幾筋にも別れて人らは歩みゆく雨の角度に傘を傾け

わが歌は今どの町をゆくらむか鳥の切手を付けて発ちしが



とりわけ、巻尾に収められた「忘却に耀る」一連は、
大きなスケールを持ち、自らを育む風土への愛情、
そして歌への言挙げが記されていて胸を打つ。
静かに何度も読みたい歌集です



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