2013
06.04

山崎聡子歌集『手のひらの花火』を読む。

第五十三回短歌研究新人賞受賞の山崎聡子さんの第一歌集。
新人賞の作品で、わあ・・この人の、いいなぁ。と憧れて、
歌集刊行を待望していて、それを裏切らないとてもすてきな歌集だと思いました。

一読、独特の詩的な世界に惹かれます。
陽炎の向こう側で揺らめくような対象のとらえ方。
そしてじっとみつめながら、丹念に描写していく、


後半に入ってからの連作「グロリア」は、戦争中の風船爆弾についての
考察を歌として出したもので、歌集としての奥行きがさらに深くなっていると思う。

と、〈こんなにすてき!〉という部分は尽きないので歌をあげたいと思います。



演劇部顧問のあまい体臭が照明ルームの暗さににおう

うしろから抱きすくめられがむしゃらにキリン、キリンとわたし呼ばれる

通勤の電車はひかりに護られて廃墟のような鉄橋を過ぐ

スイマーのチヒロの耳のちりぢりのピアスの穴をとおる冬の陽

へび花火ひとつを君の手のひらに終わりを知っている顔で置く



この人の作品がすっと入ってくるのは、文字に起こされたイメージの操作を
読み手にゆだねているからだと思う。
「わたしはこう思った」「わたしはこうしたい」的なものは少なく、
ただ対象を提出してゆく、という。


とても刺激的な歌集




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