2013
08.06

目黒哲朗歌集『VSOP』を読む。

目黒哲朗さんの第2歌集。

タイトルはブランデーの熟成年数を洗わす符号VERY SUPERIOR OLD PALE
の意味ということです。

はじめ、わたしはハービー・ハンコックのアルバム『V.S.O.P』を思いました。
これはVery Special Onetime Performanceの意味で、目黒さんのこの歌集も
すばらしいものと感じたからです。

詩的な言葉を手がかりにして、日常を切り取ってゆく詠風で、
とても豊かな気持ちになれます。これぞ歌の真骨頂といいましょうか。
歌の良さが存分に出ていると感じました。



流星群見にゆきしかど夜は深く言へないままのさやうならある

まるで蛾のやうにひとりだ雨の夜のドラッグストアで買ったevian

マスクして顔半分を覆つてなほ人間として歩まむとせり

野球部が歩幅そろへて走りゐるグラウンドに埃たつ三月

プールから上がつた君のくちびるに貼りつく髪が真水のかたち



詩的、とはこんな歌をいうのだろうと思います。

第三章では、震災の児童生徒作文に着想を得た作品が収められています。
「文藝春秋」平成二十三年八月臨時増刊号のがそのコンテクストです。

むずかしいのは、このコンテクストが雑誌媒体であるために、もともとの作文を
見ることからずんずん遠ざかってゆくことなのです。

とくにわたしの居住地は田舎なので、図書館自体が充実していなくて、
目黒さんのこの歌にさらに深く取り組むのには
すぐに参照できない障壁があるのでした。
とてもそのへんがむずかしく感じられました。

ですが、それぞれの生徒の言葉が切り取られて、
作者によって短歌としてあること。
それは心の中に深く響くものとなっていったと思います。


歌ということの力を改めて思ったことでした




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