2014
01.06

澤村斉美歌集『galley』を読む。

塔短歌会に所属する澤村斉美さんの第二歌集『galley』を読みました。

早くから装幀について大いに話題になっていた歌集です。
装幀も作品の一部と考えれば、トピックの力としては大きいと思いますけれど、
やはり大切なのは内容の方だと思います。

編年体での構成、自らを取り巻く環境の様々を
饒舌に綴ってゆかれるようです。

この「饒舌」というのが、わたしにはとても特徴的であると思われました。

昨年の「塔」誌の誌上再録座談会で、
活発に発言されていた澤村さんの姿に非常に重なるものがある。

饒舌に自らを語り、周囲をかたり、思いを語る、
情熱が注ぎ込まれた歌集なのだということが伝わってきます。

職業の公と私は混然としており、
すでに深く職業人としての思考が日常をも浸食している。
そののちの、「galley」であるわけです。
クリティカルな視点が息苦しくさえある。



ゑのころにみつしりと秋溜まりゐて通勤者にも光をこぼす

竹林の切り売りすすむかいわいでほろんだ竹はトラックにのる

大きな犬のやうに眠つてゐるだらう月に真白く耀りつつ家は

死者の数を知りて死体を知らぬ日々ガラスの内で校正つづく

かなしみに触れ得ぬ指は拾ひたり翡翠色のまま落ちし銀杏



優れた喩の歌も多いですが、個人的にはこのような歌が好きでした。
そして「あとがき」も読み応えあり。
欲を言えば、もう少し歌数を絞って、
読者にゆだねるところが多くあってもよかったかもしれない
とも感じました。

とにかく気合いの入った歌集で

様々な方に読まれることを願ってやみません






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