2014
06.03

松村正直歌集『午前3時を過ぎて』を読む

早くも6月に入りました。月並みですが今月が終わると
一年の半分が終わってしまうのですね。早いです。

さて、現在、「塔」の編集長をしておられる松村正直さんの第三歌集
『午前3時を過ぎて』を拝読しました。

第二歌集からは八年近くの間が空いたとのことですが、この間、
評論集を2冊出されるなど、精力的に活動をされています。



静かに人間というもの、そして関係性を見つめる歌が多い。

家族の歌も含まれているのですが、どこか無常が漂う。

実父との関係、妻子との関係、他者との関係、言葉との関係、

すべてのものは永続ではないという

諦念のようなものが通底しているように感じました。


しらかみはしめりをおびて何年ももうあなたではない人と住む

点線に沿って切り取るかなしみのこの人もまた味方ではない

溶けてゆく氷のかたちあの夜を覚えてないのかと問い詰められて

月に一度電話をかける関係のそのラインより深入りはせず

ベランダに鳴く秋の虫 夫婦とは互いに互いの喪主であること



人間の生とはなんだろう。揺るがない、と思っているのは、
実は儚い思いこみなのかも知れない。

生はあるいは瞬きをする間にひっそりと終わるものであること、

生きることそのこと自体が労働である。

心の深奥にせまってくる歌集だと思います
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