2014
08.13

塔短歌会・東北の『1099日目』を読む

早いもので八月も半ばで、ブログを更新できずにきてしまいました。

ぜひともご紹介したい誌を、遅くなったのですが、今日は書きます。


塔短歌会・東北の『1099日目』。

震災から3年以上経過した、塔短歌会のそれぞれの1099日とは、いかなるものであったか。

震災に関する歌は記録性などとその特異性ばかりいわれますけれど、

是に関しては、「記録」ではない。

そのときそのときの大切な思いの表現であると思う。

それは、いつもの私たちの日常詠であると思うのです。

推敲のなされていない手紙には海 日の沈むことのない海   浅野大輝

勢ふも掠るるもあり廃棄物最終処分反対の署名          梶原さい子

境目は常に震へてゐるのだと抗ふことなく川は流るも       小林真代

ただ一度頭をかすめたる君のもうゐない地上に緑濃かりき    佐藤陽介

砂鉄川を流れる水へ砂鉄増し海底の遺体を埋めてゆくなり    田中濯

山向こうの水源地よりはこばれて水道水はほの青く灯る      三浦こうこ




それぞれの歌に宿った影のような暗い部分は、

震災を通過したひとでなければ分からないものであると思う。

それは広島や長崎で原爆を経験した人と同じに

苦しみはずっと続くのです。

そのことが今年の夏、なにか体感というか、

自分ははじめてはっきり分かったような気がする。



ほかに、「今振り返るこの三年」というエッセイも収録されていますが、

東北にいる歌人たちの心情に肉薄できると思う。

限りなく共感し、胸の衝かれる思いだった。

そうしてまた四年目の歌を誌として纏めて欲しい、と思うのは

一読者としてのわがままでしょうか。


記録ではなく、ぜひ各々の歌をつづっていってほしいと感じました。







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