2014
09.11

喜多昭夫歌集『君に聞こえないラブソングを僕はいつまでも歌っている』を読む

「つばさ短歌会」を主催する、
喜多昭夫歌集『君に聞こえないラブソングを僕はいつまでも歌っている』を読みました。

前の歌集からの歌を収録した、プライベート・アルバムとしてではなく、

ある主題や強い意図を持って組まれた、挑戦的な歌集。

喜多さんは今回の歌集で、思春期の人たちとの関わりを、

虚実皮膜を描いてみせています。



JKと呼ばれてさみし 濃紺のハイソが駆けてゆく遅刻坂

かみかみのマリアの一人称は〈俺〉 「涙をだしたらかなしくなった」

カップ麺の蓋に消しゴム乗せている 君のメールを待つ春の夜

メールしてメールもらってメールして 初めて下の名前で呼んだ

だれからもあいてにされないしずけさよ しかけえほんのなかのあおぞら





事実やあるテーマとどのように関わっていくか。

歌を作る上で、虚構や作中主体の導入も非常に効果的であり、

あるいは失敗もすることもある。難しいなあと思います。

ここでは「君」という二人称、あるいは「僕」という一人称があるが、

はたして統一されたひとりであるかは明かされない。

人称ということも構成の上で考えさせられました。


意欲的な挑戦作。

どのように読まれるか、ぜひいろいろな感想を聞いてみたくなる歌集です





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