2014
10.13

田丸まひる歌集『硝子のボレット』を読む

10月はこれが初めての更新です。
9月末から10月初旬に、良書がたくさん刊行され、読むのが追いつかず、更新が滞ってしまいました。
少しずつですが、歌集のご紹介をしていきたい。


新鋭短歌シリーズ第二期の第一弾として刊行された、
田丸まひるさんの第二歌集『硝子のボレット』。
ボレットは弾丸という意味で、田丸さんは口語で作歌をしていらっしゃるのですが、
一読、口語の短歌でここまで表現は深められるのかと卓越した表現にうなった一冊でした。

最初に自分の存在自体が強くあって、他者にも強く働きかけ、迫る強さをもつ歌集。
くっきりとした他者の関わりが描かれています。

存在の強さ、働きかけや迫る、という包容力から派生するいろいろはどこから来るのかと考えると、
「~たい」「~なさい」や」「~か」という表現からなのだろうと思う。

花びらのように誰かの手袋をめくりましたか わたしの前に

いいよ 息をしていていいよ 真夏にもあなたをつつむ雪ふらせたい

じゃあ非常階段に来て。眼裏の雪のすべてが燃えきるまでに

しますか。しないのですか。今もまだ日暮れのようなわたしの体

医師もつらいのですか教師に問われて 答えがほしいのですか




自分という全存在を感じ、確認するためのさまざま。職業詠あり、
相聞あり、多彩です。
とりわけ性愛の歌は歌集の核を為していて、今号の「うた新聞」では吉川宏志さんが
性愛の歌の容易な消費性を危惧しておられたけれど、
田丸さんの歌において、性愛の歌は必須の要素なのだと思う。

他者との関わりにおいて、言葉や表層ではなく
肉体と肉体の本気の時間限定の関わり。そこに主従はなくて、
言葉ではない、全霊のコミュニケーションがあるのだと感じる。
生臭くなりがちな性愛の歌を、身体感覚も含めて詩的に昇華させていく力量は
田丸さんだからこそだと感じました。

第二歌集という位置づけならではの充実の歌集だと思います。
多くの人に読んで欲しい歌集だと思いました。










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