2015
04.20

加部洋祐歌集『亞天使』を読む

「舟」「開放区」同人の加部洋祐さんの第一歌集『亞天使』が刊行されました。
加部さんはもともと「潮音」に所属されており、若手として大いに活躍されていたことを
昨日のことのように思います。少しだけ年長者で在る私は、
応援といっても微力すぎるのですが、頼もしい後輩として、いつも加部さんの存在を
感じていたよう思います。

刊行された待望の第一歌集は、帯にあるように「衝撃の第一歌集」であり、
陰鬱で鋭い表現の中に、自らの生の力が漲る世界観が溢れているように読みました。


ふり向かず歩き来し道ふり向けばくうはくはそこに立つてゐました

ありがたうそしてさよなら若き日よひねもす部屋の壁に真向ふ

握りしめし拳の中のくらやみにみひらく瞳くらやみを視つ

生きたしと希はぬほどに年月は流れて今朝も歯を磨きたり

天皇を宿敵として生きし師の棺なりけり冬の浴槽



たとえば生と死を真向かうという姿勢をもって見つめた歌が
歌集の底によこたわっているように思う。
五首目の歌は「潮音」在籍時の師・藤田武への挽歌だが、「冬の浴槽」というところに
作者の才が発揮されているように思う。
光は闇の中で輝く。作者は闇だけではなく、光を誰よりも欲している作者だと感じ、
その苦悩をひりひりと感じさせる歌集ではないかと思いました。












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