2015
12.28

千種創一歌集『砂丘律』を読む

塔短歌会に所属する千種創一さんの第一歌集『砂丘律』。(青磁社2015.12)


千種さんファンにとっては待望の歌集として、
密林での先行予約も素晴らしい伸びを示していたとのこと。

ペーパーバックのような雰囲気の装幀も大きな話題になっていました。
作者の拘りの一つずつが丁寧に具体化されています。

雪原で泣くんだろう泣きながらたばこ吸うんだろう僕は

ほぼラムのキューバリバーを飲み干して反政府派のサイトへ飛んだ

この歳になつても慣れない。絨毯のやうに平たく死んでゐる犬

ひとびとが溺れ死ぬ聖書のページ 手渡すお茶に氷はまわる


作者の来歴を既知の読者は、
おそらく今問題が渦巻く中東についても念頭に読んでいくと思うのですが、
しかし、そういった問題へは肉薄しておらず、 
むしろどこかの砂の異国での「真実」を叙述と文体で読ませる。

「私性」をまったく反映させないのは、作者の実生活上の理由もあるのでしょうし
自閉した当世風の文体の公式を踏襲したようにも感じる。

もっと社会という外界と、どのように作者が接触しているのか、
作品を深く読みたいとも感じました。

口語と句読点を駆使し、どこまで詩として語り得るか。
命題は表現者の経年を経て、
やがてさらなる難問として表現に降りかかっていくものと思います。
さらなる拡張を期待します。




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