2016
08.06

小紋潤歌集『蜜の大地』を読む

心の花に所属する小紋潤さんの歌集『蜜の大地』。
永らく歌集関連の出版社に勤めておられ、
装幀家としても著名で、様々な歌集のおもてを
壮麗にかざってこられた方として深く印象深い方です。



朱き実を捧げ持つ木の大切を思へば残されてある歳月よ

リラの花終りていつかしづかなる街の並木に沿ひて歩くも

優しさはひしめくごとき葉牡丹のむらさき濡らしゆく時雨かな

ふるさとに帰り来たれば夏日なり貧しく枇杷の実の熟れるとき

肩車よろこぶ声は父よりも高きところに麒麟を仰ぐ



タイトルは聖書の文言より。
祈りに似た静かな詠風、だが確かな描写が心を打つ。

私は以前、小紋氏に私家版の歌集が存在すると聞いたことがあって、
それを入手したかったが、できなかったという事がありました。
それらの作品はこの歌集に含まれているのか? 

非常に長い歳月の間に
つくられた歌がこの一冊に詰めてあるので、
私家版歌集のゆくえも触れてほしかったと個人的には思う。


出版を果たした歌集と歌友の力。
そんなことも感じられる力強い歌集です。

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