2016
10.25

沼尻つた子歌集『ウォータープルーフ』を読む

塔短歌会に所属する、沼尻つた子さんの第一歌集『ウォータープルーフ』。




「沼尻つた子」さんの生がみっしりと描かれているこの歌集。

かぎかっこのお名前にしたのは、あとがきにこんな文章があることからです。


「沼尻つた子」が歌集を出したのちにも、
「私」は暮らし、働き、短歌を詠み、生きていきます。


「私」は限りなく沼尻つた子さんに託して詠んでいく。
そして一個の物語にはしてはならないという決意も読み取れると思いました。


クレヨンの入り込みたる爪を切りティッシュに散らすビリジアンいろ

わすれてくれわすれないでくれわれのこと 帽子の名札は未だひらがな

PTA総会終えてママという蒸れた着ぐるみのチャックを下ろす

届き得るものに限りあるこの世われは冷たき脚立をひらく

名はたましい 知りてしまえば吾の前にたちあらわれる顔欠けしまま




時代と切り結ぶとはこういうことなのかと思う。

しっかりと確かに地に足をつけて沼尻つた子さんは詠っています。

今年はじめて、心にずっしりと来た歌集です。




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