2017
06.14

岩尾淳子さんの歌集『岸』を読む

未来短歌会に所属する岩尾淳子さんの第二歌集『岸』が刊行されました。

昨今、歌に奇を衒ったり、つくりこんだり、
またはイデオロギー一色であったりという
なにか過剰なものへの関心が寄せられるなかで、
岩尾さんの歌集『岸』は短歌ならではのしみじみとした感興を呼ぶと思う。


夕暮れて野球部員の均しゆく土より冬の背すじが浮かぶ

子を産んだ朝もあったな母がいて青鷺みたいにわたしを見てた

あらかじめ空には傷があることをきれいな鴉が教えてくれる

夏帽子かぶり直せばあこがれのように広がりゆく川の幅

ふつかほど家を空ければ花茎のすうっと伸びているアマリリス



教師として若い人たちと接する日々、ご両親と長くながく住む町の記憶、
そしてご自身とそばにいる方たちの生が
ほつほつと語るようにつづられていきます。
短歌を詠み、そして読者として読むことを改めて考えたいと思う歌集です。

水彩画のような淡い色彩と透明感が漂った装幀もすてきです。
さびしくて、でも静かな感じに身をひたすような。

ぜひお読みください。


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