2017
07.25

遠藤由季さんの歌集『鳥語の文法』

かりんに所属する、遠藤由季さんの第二歌集『鳥語の文法』(短歌研究社)。
第一歌集『アシンメトリー』から7年ぶりの歌集です。
1ページずつ捲っていくと静かで、でも芯のある歌歌に出会います。




風立ちてわが額へと注がれる落ち葉の痛し洞ならざれば

鬱の字を一画ごとに摘まみ抜き息吹きかけて飛ばしてみたし

ガラス戸に翳り映れるわが顔もわが顔 鳩が白く過ぎりぬ

感情が苦く逆流してきたり梅の枝ぎしぎし空へと伸びて

スカイツリー届かぬものを最初から視野に入れない生き方もある


世の中の具体的な事象について声高に叙述するのではなく、
身めぐりの思いや関りを細部まで見つめて成立した歌集です。

一首ずつが確実に立ちあがり、しっかりと読ませる作家だと思う。
全体に重い雰囲気なのは、否定形、または否定的な要素を
多用した文体にあるのかもしれない。
ここに挙げた歌にも「痛し」「鬱」「翳り」「逆流」「届かぬ」「入れない」などが見て取れる。
それは、やはり作者の実際の心象が反映しているからなのかなと感じます。

大地をしっかりと踏みしめて立つ女性を見るような歌集。
ぜひお読みください





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