2018
06.09

大森静佳さんの歌集『カミーユ』を読む

「塔」短歌会に大森静佳さんの第二歌集『カミーユ』(書肆侃々房)が刊行されました。



赤を基調にした装幀も素敵ですが、
絢爛たる歌のことばに圧倒されます。

集中に現れてはまた去っていくような女性の姿。
いずれも激しくおのれの生き方を貫いた女性が、
コンテクストとして歌歌の底にあります。

老けてゆくわたしの頬を見てほしい夏の鳥影揺らぐさなかに

泣きながらわたしの破片を拾ってた ゆめにわたしは遠い手紙で

手をあてて君の鼓動を聴いてからてのひらだけがずっとみずうみ

皆殺しの〈皆〉に女はふくまれず生かされてまた紫陽花となる

そののちの長い月日の 狂うとき素足はひどく透きとおるけど




М・デュラス『愛人/ラマン』の世界を思わせる1首目、
カミーユ・クローデルをeaturingした5首目など、
愛と自律する己への意識が描き出されています。

デュラスで思い出しましたが、
彼女の「愛人」は、綴りがL' Amant、つまりは
女の側から見た男の愛人ということで、

この「カミーユ」でも自律を持つ女の情念が渦巻いているように感じました。
深々とした一冊。今年の話題をさらいそうです。


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