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2018
07.06

嵯峨直樹さん歌集『はじめての火』を読む

「未來」短歌会に所属している
嵯峨直樹さんの第三歌集『みずからの火』(角川学芸出版)が刊行されました。




1ページに1首が置かれていて、1首ずつの重みが伝わります。
都市生活者にある官能・感覚が、自然物を伴って描かれる。
巨大な街にちろちろと燃えるような自我、
まさに「みずからの火」を燃やして人は生きるのだと感じます。


ひかる街のけしきに闇の総量が差し込んでいる  空に月球

琥珀色の水滴の膜ふるわせて夜の市バスの窓のきらめき

スシローの賑やかだった更地には茎にからまるような秋の陽 

雷帯びた雲くりかえし潜らせてほつりほつりと綻ぶ身体

うす紅の空の底部を擦りつつ車のひかり街をつらぬく


言語のもつ幅や、
一首のなかでの語句同士のパイの配分のようなものを
よくわかり合って成立している作品群だと思う。
ていねいな歌だけが収められた「みずからの火」
とても読み応えのある歌集だと思います。




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